嘘じゃないよね?
その日、私1人だけが異様な空間の中にいた。
辺りでは、ランプが激しく光っていて、次々に聞こえて来るのは当り台へのラッキーコール。
いつもの私なら、自らが先頭切って、マイクを握り締め笑顔いっぱいにホールを周っているはず。
私の仕事は、パチンコホールのスタッフ。
来店してくれるお疲れ様にはどんな時でも笑顔を差し上げなければならないサービス業なのだ。
わかってはいる
わかってはいるけど
笑えない…
笑えるはずがない
あの日以降、ブサからの連絡はまだ来ていないのだから。
やっぱり迷惑な、貴方にとっては邪魔な存在にしかなれなかったのかな…
諦めるとか別れるとか、そんな事を悩んでたのとは違う気がする。
ただ、自分の存在をブサにだけは消されたくない‼︎
私は貴方を愛している‼︎
例え、このお腹の中の子の存在を貴方が認めてくれなくてもいい。
私の姿だけを見て
私の声だけを聞いて
私の心だけを受け止めて
私の全てをあげてもいい。
だから…
お願い
私を貴方の記憶の中から消さないで欲しい…
私の願いはこれだけだったんです。
やっぱり、私も彼に依存してたのかも知れませんね。
ただ只、ブサへの熱い想いがあって、その気持ちを止められない自分が生まれ始めてたあの頃。
私にはブサしか見えなかった。
だから、妊娠とゆう事実を知った時、お腹の中の子の命よりも、もしかしたらブサを失ってしまうかもしれないと思う不安。
その方が遥かに大きかったんです。
そんな不安が何日か続いたある日。
ブサから連絡が入りました。
やっぱり別れ話だよね…
彼の家を訪れた時
黙って俯いてる事しか出来なかったな。
言葉が何も出ない…
「ごめんね、連絡遅くなっちゃって」
先に声を出したのはブサ。
「これ、渡して置くよ」
ブサがテーブルの上に置いたのは
…………
鍵
ブサの部屋の合鍵でした。
どうゆう意味?
直ぐには理解出来なくて
合鍵、私にくれるの?
まだ貴方のそばに居ていいの?
少し戸惑い気味だったと思う。
そりゃそうだよね。
だって絶対別れ話になるに決まってる。
そう思ってたんだもん。
だけどブサが出した応えは
ゆずきを引き取り、お腹の中の子と4人で暮らそう。
私が思ってもみなかった言葉。
彼の優しさ溢れる言葉だったんですから。
めちゃくちゃ嬉しかったな。
ブサが私を見てくれた
ブサが私の声を聞いてくれた
ブサが私の心を受け止めてくれた
天にも昇るような感覚。
きっと、こうゆう気持ちの事を言うのだろう。
今まで生きて来た人生の中で、あれ程幸せな気持ちを感じる事はなかったもん。
でもねブサ。
それって、本当の貴方の気持ちでしたか?
本当に貴方はそう思ってくれた?
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